HERO.人造超人バイブレード

 実は今まで紹介してきた怪獣たちは、一応このバイブレードというヒーローの敵怪獣として考え
出されたものです。怪獣たちの体色が妙にカラフルなのは、この地味なヒーローと対峙したとき映
えるように考えたからです。だから順番としてはこいつが最初に紹介されて然るべきなんですけ
ど、ホームページを「図鑑にのってない怪獣」と題しておいて、いきなり最初に「それではまずヒー
ローの紹介です」っていうのも如何なものかと思ったので控えました。前回までに色々なタイプの
怪獣を一通り紹介したので、そろそろいいんじゃないかと思い、満を持して(?)のヒーロー登場と
なった次第です。。
 僕は怪獣デザインを始めた当初、勝手にウルトラマンゼロというオリジナルウルトラマンを考えて
その敵怪獣という想定で怪獣を考えていて、バイブレードはその敵怪獣の中の1体でした。「ウル
トラマンという得体の知れない存在に人類の運命が託されているということに危機感を募らせた一
人の天才科学者が、独自の理論によって、人間を超人に変える薬品を開発する。そして、その薬
品の実用化を防衛省に持ちかけるが、防衛省はハナっからその科学者の話を信用せず、とりあわ
なかった。そのため科学者は自分の正しさを証明するため、まだ試作段階の薬品を自らの体に注
射する。その結果、超人化には成功するが、薬品が未完成だったため超人となった科学者には人
間としての意識が残らず、結局街で暴れまわる怪獣となり果ててしまう」
というシナリオ付きの渾身
の一作でした。本来目と口のあるべきところにぽっかり穴が空いている顔と、全身を覆うできもの
のようなイボイボが病的、グロテスクなイメージを喚起する一方で、どこかスマートで神秘的なカッ
コよさも感じさせるこの怪獣を見ているうちに、僕はバイブレードを一怪獣としてしまうのは勿体無
いような気がして、これを新しいヒーローに仕立てることを思いつきました。怪獣のバイブレードは、
首がちょっと長かったり、全身が装甲で覆われたりしていて動き辛そうだったので、装甲を必要最
小限にしてシェイプアップし、今のかたちになりました。
 どうでしょう、皆さんの目には彼が悲しい宿命を背負ったヒーローに見えるでしょうか?それとも
やっぱり奇怪な怪人にしか見えないかな。

☆バイブレード三面図