番外その3 破壊竜バティスト(ボツver.)
 これは、アストロナイト第18話を載せた時の、怪獣バティストの当初のデザインです。結局、19話更新後にこのデザインは引っ込められ、18話の挿絵には代わりに、これを「ウルトラマン」に登場する怪獣ドドンゴのような二人羽織型の着ぐるみに描き直したものを、使っています。

 このデザインを結局ボツにした理由は、二つあります。一つは体型があまりに人間に近いということ。アストロナイト18話には、他にサブ的に3種類の宇宙人が登場し、それらはいずれもオーソドックスな人間型のシルエットをしていました。ならば当然メインとなる怪獣には、それらと違った、もっとどっしりとしたケモノ的な体型のものを据えたいところです。そういう訳で、このバティストのデザインも最初はきちんとした二脚恐竜型のつもりだったのですが、両肩から生えている特徴的な半円形の翼が普通の恐竜体型にはマッチしなかったため、結果的に一応二脚恐竜型の体裁はとっているものの、どちらかと言うと人間型に近い、スマートな体型に落ち着いてしまいました。そして、実を言うとこの18話登場怪獣のデザインというのは、その時点で相当難航しており、最初にどっしりとした体幹と翼状の両腕を持つ怪獣グラフォン→そのグラフォンをドドンゴ型に→しかしグラフォンのデザイン自体に納得がいかなくなり、全く別のデザインを持ってきてドドンゴ型にしてみる→どうしてもしっくりこないので普通の二脚恐竜型にして肩から特徴的な翼を生やしてみる、というように二転三転した後だったので、もう正直「このへんでいいや」という感じで、人間に近いシルエットなんて些細な問題だと切り捨てて採用しました。ぱっと見た感じはインパクトがあって強そうだったので気に入っていたっていうのも確かにありましたしね。

 しかし、18話を載せた後にふと僕は二つ目の問題に気がつきました。「あれ、この怪獣どっち向いてる?」という問題です。この絵のバティストは基本的に正面を向いています。ところが首から上を見るとどうも左に首をひねっているように見えます。そのため本来なら正面像となって小さくまとまり表情なんか分からなくなるはずの頭部が、側貌として存分に描かれているのです。念のため言っておきますが、僕がいつも描いているのは着ぐるみにすることを前提とした怪獣デザインです。さらに言えば「ウルトラマン」のようなヒーロー特撮番組に週替わりで出てくるようなテレビ怪獣です。そして、そしてそういう怪獣は基本的に首をひねることができません。そうゆう凝った動きができるのはゴジラのような映画怪獣だけです。多分。つまり、例えバティストを着ぐるみとして立体化したとしても、この絵のようにカメラに映ることはありません。印象的な羽の模様を収めようと正面から撮れば顔がよく分からなくなり、側貌をきちんと収めようと横から撮れば羽の模様はほとんど映らなくなります。これではいくらデザイン画では格好よくても、それは“まやかしの格好よさ”であると言わざるを得ません。それではどうにも気持ちが悪いということで、やはりもう一度二人羽織型の四脚怪獣としてデザインし直そうということになったわけです。